7:30から始まるMRの一日 *大学病院・基幹病院担当編*

(2018.2.6投稿)

導入研修が終わって各地に配属されると、一人一人に「担当」と「目標数字」を言い渡されます。

担当は大きく2つのタイプに分けられ、基本的に内資系メーカーでは「エリア制」、外資系メーカーでは「領域性」を導入されていることが多い傾向にあります。

「エリア制」・・・市区町村等、近隣や隣接した地域を担当します。多くの場合、さらに開業医担当と病院担当とにわかれています。

「開業医、中小病院担当」
担当エリア内で、自社が扱う領域の製品すべての情報提供活動をします
企業によって異なりますが、1MRあたり20軒~100軒くらい担当を持ちます「大学病院、基幹病院担当」
大学病院などの大きな病院ではメイン担当とサブ担当の複数人で担当を持ちます
1MRあたり5~10軒くらいの担当を持ちます

 

「領域制」・・・糖尿病領域、精神領域等、扱う薬剤によって担当を分けます。同じエリア、同じ病院に同じ会社のMRが複数出入りします。

 

担当によって会社から求められる内容や仕事が違ってきます。
このページでは、「大学病院、基幹病院」を担当するMRさんのとある一日を紹介させていただきます。

「大学病院、基幹病院」担当MRの一日を取材

◎今回、取材させていただいた方

MR 病院担当者

*MRはその時の状況や優先順位などを随時判断しながら毎日違う動きをします。
日によって訪問する病院も違いますし、仕事内容も変わってきますので、一例として参考にしていただけましたら幸いです。

大学病院 MR

大学病院・基幹病院は基本的にアポイント制

MRは基本的に直行直帰です。
「病院担当者はアポイントや訪問規制に合わせて一日のスケジュールを立てる」と教えてくれました。

【Sさん担当施設のアポイント許可時間】
大学病院 7:30~9:00 完全アポイント制(*アポイント以外で廊下に立つのは禁止)
基幹病院A 7:30~9:00、15:00~19:00 完全アポイント制(*アポイント以外で廊下に立つのは禁止)
基幹病院B 11:30~17:00 アポイント制 (*規制内の時間なら廊下にいてもOK)
中小病院C 決められた曜日の13:00~
開業医D  診療時間終了後

Sさんの担当している大学病院では、7:30~9:00の間の時間帯に許可を得たDr.と面会できるシステムで、規制時間内に3人前後面会することができるそうです。
面会希望日の約2週間前にメールで第1希望~第3希望まで出し、もし許可をもらえなかったら病院のフロアに行くことも禁止されているとおっしゃっていました。

他の基幹病院でも、基本的には訪問規制とアポイント制が導入されているそうで、病院によっても規制内容が違っていました。
大きい病院ほど訪問規制と完全アポイント制など規制が厳しくなってきています。
病院によっては規制を破ると”出入り禁止”業者に指定され、代々その会社の人間は訪問を許してもらえない可能性があります。
なかなか会えないDr.には何としてでも会いたいという気持ちもわかりますが、自粛しましょう!

また、中小病院や開業医ではまだ訪問規制を厳しく設けている施設は少ないため、午前の診療後又は午後の診療後に訪問するそうです。

一昔前の病院では・・・

「MRやっています」と話すと、
”廊下で何時間も待つの?”
”病院でスーツを着てずっと立ってる人はMRさん?”
という質問を度々されます。

一昔前でしたら”そういうこともあるよ”と答えるかもしれませんが、今では少し違います。
私が新入社員として製薬会社へ入ったころは、病院と言えば「朝掛け、夜掛け」が当たり前の時代で、医師が出勤前に病院へ入るタイミングと、診察が終わって帰るタイミングは確実に会えるチャンスで、複数のメーカーで声をかけるタイミングを狙っていました。

病院でも、会えるまで待っていたら3時間もたっていた・・ということはよく聞く話でしたし、私自身も経験があります。
廊下で会った先生に”ちょっと待ってて”と言われ待ち続け、先生がそのことを忘れていたなんて笑い話もありました。

しかし、今はそういったことをできる施設はかなり少なくなってきています。

内勤業務も多い病院担当者

朝、大学病院へ行った後は、会社へ戻り内勤業務をすることが多いそうです。

・先生へアポイントを出す
・各先生、部署のメール対応
・略歴・顔写真の確認
・学会関連での事務局とのやりとり
・文献の確認
・トピックの確認

また、著名な先生を担当していると全国から演者(話し手)としてお呼びがかかります。
全国各地へ演者として向かう場合や東京などで行われる全国規模の講演会へ参加される際には、「随行」といって一緒に現地まで行きます。
その際の飛行機・ホテル等手配もMRが行います。

製薬会社が「MRの質」の向上を掲げてから、接待が減り研究会や講演会が増えました。
”MRが接待してくれたから使ってあげよう”という時代は終わったのです。

その分、Dr.が話をする”研究会”や”講演会”を設ける機会は増えています。
実際に薬を使ったとき、患者さんにどのような効果があったのか、医師本人から聞いた方が説得力が増しますよね。
その際に話をするのが大学病院や基幹病院のDr.であることが多いため、演者や役割者の担当MRはそれに伴う各手続、準備もしなければなりません。
先生へアポイントを出したり文献を読むという面会のための準備だけでなく、各方面への事務処理も大切な仕事です。

 

薬剤部への訪問

MR 薬剤部

病院の薬剤部はMRが面会に来てよい時間帯を決めているところが多いです。
Sさんの担当施設ではアポイントは必要なく、14時以降から夕方にかけてが多いようですので、その時間帯は毎日どこかの薬剤部に顔を出しているとのことでした。

医師と面会し情報提供活動をすることはもちろん大切ですが、薬局長と面会することもとても大切です。
「MRってどんな仕事?」のページでも触れましたが、「情報を提供すること」と同じくらいもしくはそれ以上に「情報を収集すること」は大切です。

製薬会社では毎日どれくらいの薬が売れているかはわかります。
しかし、病院には複数の医師がおり、複数の診療科で同じ薬剤が出されるので、どの診療科・医師がどのような患者さんに使ってくれているかはわかりません。

その点、薬剤部では病院内すべての薬の流れを把握しています。
薬(特に希少疾患に使う薬)を誰がどのような患者さんに使っているか教えてもらうことで、MRは医師から実際に処方した感想をもらい、良い効果が出たという症例をシェアしたり、何か問題があったという場合にはすぐに会社に報告することができます。

また、薬を新しく採用してほしい際にも、医師が使いたいと言っても薬剤部がNoと言ったら採用にはなりません。
命に直結する薬を扱う薬剤師さんとも真摯に真面目に情報提供活動をし、信頼関係を築くことが大切です。

⇒MRってどんな仕事なの?

講演会の手伝い

講演会 MR

大きな病院担当者には切っても切れない関係にある”講演会”
*「講演会」とは、テーマを決めて症例報告や最近のトピック等を含めながら医師が話す、医療関係者向けの会です。
MRが行う製品説明会と違い、各分野で著名な先生方に講演いただくことが多いので、テーマによっては大盛況で席を増やしてもらうこともあります。

自分の担当の先生が役割者に入っている時は、準備から当日の開催まで全てに携わるそうです。
・講演会の企画・立案
⇒日程や人数に合わせ会場を手配、演者や座長等の役割者をリストアップ

・当日の配布資料準備
・案内状の製作

また、当日、受付や会場の案内等の役割を社内のMRに割り振り振り、当日の責任者として何かトラブルがおきたら対処したり、講演会がスムーズに進行するよう常に目を配ります。

 

まとめ

病院担当者と開業医担当者では仕事の内容が大きく異なります。
病院担当者は日々の医師、薬剤師との面会以外に講演会や学会の準備・各部署との調整がある点が最も異なる点です。

訪問規制やアポイントがどんどん厳しくなっている大病院では、医師や薬剤師に「話を聞く時間をとろう」と思ってもらえるようなMRにならなければなりません。
一人一人の面会時間も短いので、限られた時間の中でニーズをくみ取り、少しでも役に立てるような話をする必要があります。

そうなるためには、医師がパートナーだと思ってくれるような「質の高い専門的な知識」と「誠実さ」、「日々勉強を怠らない」ことが必要なのではないかと思います。

最後にSさんにやりがいを聞いたところ、「自社の薬で患者さんの命を救えたこと」と答えてくださいました。
厳しい症例を目にすることも多いなか、”重症の患者さんが自社の薬を使ったら劇的に回復した”等、患者さんの役に立てていると実感できることにやりがいを感じるそうです。

難しい症例を多く扱う病院担当者ならではの「命」への想いの深さを感じました。